
東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩10分。
六本木通り南側の裏路地にあるビルの地下1階、8席のカウンターがメインのリストランテ
「IL TEATRINO DA SALONE(イル・テアトリーノ・ダ・サローネ)」へランチで訪問しました。
こちらは横浜の「SALONE2007」や渋谷の「BIODENAMICO」などを手掛ける
有限会社ジュン・アンド・タンが運営するお店。なかなか予約が取れないお店としても有名。

店名の「テアトリーノ」は、小さな劇場という意味。
8席のカウンター席を舞台に、芝居を見るように、或いは、
ゲストが登場人物のように食事の時間を楽しむというコンセプトです。
カウンターの他には、テーブル4席、個室1部屋。
オープンは、2010年5月18日。
以来今回が4度目の訪問になりますが、今年8月に一部内装をリニューアルし、メニューも一新。
コースは月替わりの1コースのみで、ランチ・ディナー共に同じ内容。
ディナーは12,000円/10皿(税・サービス料別途)、ランチは価格据え置きの8,500円になりました。
新たに就任したのは、岡野裕太シェフ。
1986年、大阪府生まれ。2009年、22歳で渡伊。
イタリア料理の伝統と再構築(クチーナ・クレアティーヴァ)を身に着け、
2013年に帰国後「QUINTOCANTO(クイントカント)」のスーシェフを務め、2015年5月より現職。
総料理長は、髙見博史シェフ。
個室の奥にはワインセラーがあり、ワインの種類も豊富です。
アルコールを控えているので、ノンアルコールの葡萄ジュース「ファルツァー トラウベンザフト 赤」で乾杯。
醸造用の葡萄で造られており、濃厚でワインに近い味わい。


一皿一皿、シェフが説明して下さいますが、聞き慣れないカタカナ語ばかり。
食材や料理の内容について、説明を入れていきたいと思います。
石の上に乗せられた前菜。
Cannolo
カンノーロ
シチリア伝統菓子。小麦粉ベースの生地を薄く伸ばし、正方形に切ってから金属製の円筒に巻き付け、
低温の植物油かラードで筒状に揚げた皮の中に甘みをつけたリコッタチーズなどを入れたお菓子。
Cips di alghe
海藻チップス
ナポリの名物ゼッポリーニ(海藻のフリット)のアレンジ。
ゼッポリーニとは、ピッツァ生地に海藻を入れ、発酵させて油で揚げるナポリの郷土料理。
Fritto di due formaggi
プロヴォローネとグラナパダーノ
2種類のチーズのコロッケ。
プロヴォローネは、ナポリ原産の牛乳を原料とする超硬質のチーズ。
グラナパダーノは、イタリア北部原産の牛乳を原料とするボロボロ粒状に崩れるチーズ。
(パルミジャーノ・レッジャーノよりも熟成期間が短い分、塩分濃度は低い。)
斬新な盛り付け。
イタリアの伝統料理にアレンジを利かせ、オリジナリティに溢れています。

Carciofi alla brace
カルチョーフィ アッラ ブラーチェ
イタリア産アーティチョークの炭火焼。
アンティチョークをくり抜き、中に、ニンニク、イタリアンパセリ、ペコリーノ・ロマーノなどを詰めて
炭火で焼き上げています。

イタリア産のアンティチョークに拘るのは、香りが独特だから。
自然の持つ力強い味わいを存分に味わうことができる。
手掴みで、先端の部分だけ口へ。
岡田シェフがイタリア修行中、まかないのおつまみで食べてきた味をアレンジしたメニュー。

Totano,Cavolfiore schiuma di limone
スルメイカ カリフラワー レモン
レモンにサポニンを加えエスプーマで泡状にしたソースが掛かっています。
どの料理も大きな器で提供され、器をキャンパスにして描かれており、芸術的です。

Cotoletta di rana,salsa all`aglio e crema di pecorino e prezzemolo
カエルのコトレッタ
カエルのカツレツです。
食感は鶏のささみに似ていますが、身は少なく、独特の風味があります。

coda di rospo scottato,conchiglie in porchetta e salsa zafferano
アンコウ つぶ貝ポルケッタ サフラン
ポルケッタとは、ローマ料理で、ハーブとニンニクで香をきかせた豚の丸焼きですが、
つぶ貝でアレンジしています。
白いんげん豆のピュレ、ポレンタ(コーンミールを粥状に煮たイタリア料理)とサフランソース
トッピングは、ポレンタチップス。

器に残った美味しいソースは、パンですくってお皿を綺麗に。

Linguine mantecato con pesto di pistacchio,gambero rosso e arancia
赤海老のリングイネ ピスタチオ
リングイネ(細く平たい麺)のパスタ
ピスタチオのペーストとオレンジゼスト(オレンジの皮のすりおろし)の香が鼻を通り、
太陽の日差しを感じます。

Fagottini,Rucola,gorgonzola e speck
ファゴッティーニ ルッコラ ゴルゴンゾーラ
ファゴッティーニとは、小さな包みという名の、四角形の詰め物パスタです。
ジャガイモとマスカルポーネのソピエーノ(詰め物)。
ソースは、ゴルゴンゾーラクリームにルッコラのサルサ。
トッピングは、パルメジャーノクロッカンテ(クロッカンテとは、フランス語で、カリカリっとした心地よい歯ごたえという意味)、スペック(生ハムの燻製)

Zuppa di pesce
ズッパディ ペッシエ
南イタリアの郷土料理、漁師のごった煮スープ。
もともとは漁師料理で、魚介類を鍋に入れ、トマトと白ワインで煮るだけのシンプルなスープですが、
旨味を引き出す為、魚のブロード、イカスミなど5種類を別々に煮出した後、
最後に煮出したスープを集約させることで濃厚な魚介スープに。赤ビネガーの酸味も特徴です。
月替わりのコースですが、必ずコースに入る岡田シェフのスペシャリテ。

Petto di anatra arrosto,porcini e pan brioche
シャラン鴨 ポルチーニ ブリオッシュ
ここまで華やかな料理をいただきましたが、全てはこの鴨にもっていかれました。
鴨肉独特の血の味があるのですが、臭みが無く、お肉の芯まで塩分がまんべんなく感じられ、とってもジューシー。
通常お肉を調理する際、旨味が外に逃げないよう、塩は直前にふりますが、
塩をふった後、真空パックし、全体に塩分をまわすそうです。
(formaggio お好きなチーズを3種類 +1,500円)
日々変わる、豊富なチーズから3種類選ぶことができますが、
コース料理が盛りだくさんの為、チーズはスキップしました。

Mojito
モヒート グラニテ

Variazione di castagna,meringa al rosmarino e gelato all uvetta e rum
栗 ローズマリー ラムレーズン
ローズマリーメレンゲ、パンナコッタ、ラムレーズンジェラート、栗のムース

Piccola pasticceria e caffe o te
トルタカプレーゼ コーヒー、紅茶、ハーブティ
トルタカプレーゼは、小麦粉を使用しないグルテンフリーのチョコレートとアーモンドのケーキ。
温かいうちに口へ頬張りました。

イタリア語で、お誕生日おめでとう「Buon compleanno」が描かれたプレートに、
ロウソクを囲っている白い網目状の筒は、ホワイトチョコレート製の飾りです。
ありがとうございます。

最後に、本日の料理内容を記した手描きの絵をいただきました。
支配人の石原公彦さんが描いたものです。
ラグジュアリーなランチを満喫した後、地上へ出ると、外は未だ昼間の景色。
外の雑踏を忘れさせるような静かな空間で存分に食事を楽しんだ後、まるでディナーをした後の余韻に浸り、
随分遅い時間になっているであろう感覚になりましたが、このあと半日残っているので、得をした気分です。
終電を気にせず、目一杯贅沢なランチタイムを味わいました。
さて、今回訪問した目的は、
IL TEATRINO DA SALONEの初代シェフ、
樋口敬洋シェフのスペシャリテ「自家製フォカッチャ」がまた食べたくて伺ったのですが、
樋口シェフは、サローネグループ全体のディレクター・シェフに就任され、
現在は5店舗を統括しており、現場に立っておりません。
このフォカッチャ、以前はコースの前菜として提供されていたのですが、
見た目は簡素ながら、絶品。またいつか作っていただきたいです、是非。
店名:IL TEATRINO DA SALONE(イル・テアトリーノ・ダ・サローネ)
住所:東京都港区南青山7-11-5 HOUSE7115 B1
電話:03-3400-5077
営業時間:ランチ12:00~13:00 L.O.(16:00 CLOSE) ディナー18:00~20:00 L.O.(23:00 CLOSE)
定休日:日曜日、第1・3月曜日