薬院大通 とり田

2015.11.01 Sun Eating place, 薬院大通

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水炊き専門店としては未だ若いお店ですが、人気の「とり田」へ伺いました。
場所は、地下鉄七隈線薬院大通駅から徒歩5分程の裏路地にあるビルの1階です。

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店内は白と白木を基調とし、シンプル、モダンな造り。高級割烹のような雰囲気です。
奥行のある店内は、入って直ぐがテーブル席。
奥へ進むと、テーブル席とカウンター席、座敷の個室があります。
個室は、4名×2室、6名×1室、10名×1室。靴は脱ぎますが、掘りごたつ式なので、足の心配はありません。

店主の奥津啓克さんは関東生まれ。フレンチの出身です。
福岡市で一軒家の創作和食レストラン「手島邸」を営んでいましたが、
折角福岡にいるのだから郷土料理に携わりたいと、2012年7月に「とり田」をオープンしました。
当時は、水炊き専門店は老舗がほとんどで、若い人が気軽いに行ける雰囲気ではなかったそう。
博多の水炊きという食文化を継承する為、美味しい水炊きをリーズナブルに提供するのが「とり田」のコンセプトです。
また、デートなど様々な用途で使える店づくりにしています。

水炊きコースは、昼、夜、同じメニュー、同価格で提供しています。
お昼は、水炊きコースのみ予約が可能です。

●梅:3,800円/人
前菜/とりわさサラダ仕立て/水炊き/雑炊 又は ラーメン
●竹:4,800円/人
前菜/ごまさば/とり天/水炊き/雑炊 又は ラーメン/本日のデザート
●松:5,800円/人 (薬院店のみ)
前菜/お刺身盛り/とり天/水炊き/雑炊 又は ラーメン/デザート
●水炊き単品:2,800円

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発砲水は、HILDONというイギリスハンプシャー州のミネラルウォーターを注文しました。
微炭酸。シンプルで高級感ある瓶です。こちらはワイングラスでいただきました。
ちょっとリッチな気分になります。

toriden_20150923_08とりわさサラダ仕立て

toriden_20150923_09半熟卵、小松菜ときのこのお浸し

toriden_20150923_07とろ~ん。肉みそと一緒に。

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先ずはスープから。水炊きはもともと家庭でのもてなし料理でしたので、特別な作法はありません。
ただ、多くのお店では、最初にスープをいただくことから始まります。
「とり田」の水炊きは、九州産の若鶏を使用。朝引きし、水と丸鶏をゆっくり炊込んでスープを作ります。
鶏ガラは使用しません。

続いて、胸肉のぶつ切りをさっとスープにくぐらせた地元特産品の「博多ねぎ」と一緒にいただきました。
シャキシャキとしたネギの食感と弾力性のある柔らかな鶏肉。
特製の黄金ぽん酢を少し垂らし、完熟果肉入柚子胡椒と共に。

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つみれ、野菜が投入されます。水炊きは、テーブルごとにお店の方が丁寧にサーブして下さいます。
博多で水炊きを初めて体験したとき、このもてなしに感動しました。
外ですき焼きや鍋をいただくとき、スープや具の取り分けは自分で行います。
高級店ではお店の方が取り分けて下さいますが、博多の水炊きはランクに関係なくお店の方がして下さいます。
しかも、手が慣れているので、取り分け方が大変綺麗です。

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軟骨が入っており、歯応えがあって美味しいです。

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〆は、ご飯か麺を選びます。ご飯を選択し、雑炊にしました。
好みで、塩を少し加えて。麺は細麺です。

お昼になると行列が出来る「とり田」ですが、人気は、薬院店のみで提供している月替わりランチです。
今月は、月見スコッチエッグとチキンカツ、新生姜のサラダ 880円でした。

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最後に少しだけ「水炊き」についての雑学を記します。

●なぜ、水炊きが福岡の郷土料理に?

日本においては、奈良時代以降、仏教の影響で肉食、特に四つ足の畜肉を食べることは禁じられてきた。
実際には、キジ、イヌ、イノシシなどが時として食べられていたが、
安土桃山時代に「南蛮」と呼ばれる東南アジア、ポルトガルとの交易が始まると、
これらの国の食習慣が九州に伝えられた。

1732年、享保の大飢饉により財政が逼迫した黒田藩は、財政再建策の一つとして鶏卵の専売化を実施。
農家に養鶏を奨励し、その卵を全部買い取り黒田藩が売るというものであった。
農家は、卵は勝手に売ることは出来ないが、廃鶏は自由に売ることができた。
鶏を買いたい者は、農家で直接購入することができたため、九州において、鶏料理が発展したとされる。

●水炊きの始まりと変遷

もともと家で飼っていた鶏を〆、もてなし料理として提供していたのが始まりと言われる。
調理方法は、ぶつ切りにした鶏を水から炊く「水炊き」である。

お店で提供されるようになったのは、明治38(1905)年創業の水炊き専門店「水月」。
「水月」の初代料理長となる林田平三郎氏は長崎出身で、香港に渡りイギリス人家庭に住み込んで料理を修業。
西洋風の鶏のブイヨンや中国料理の鶏の湯をヒントに水炊きをアレンジ。
それまでの鶏を水から炊く水炊きから、鶏を煮出したスープで鶏肉を煮込む水炊きへと進化させる。

その次に出てきたのが、1910年(明治43年)創業の料亭「新三浦」。
「水月」が透明なスープに対して、白濁した濃厚なスープが特徴の「新三浦」。
続いて、庶民的な価格で水炊きを提供する「長野」が進出。

本格派の「水月」、高級料亭の「新三浦」、庶民的な「長野」。
(水炊きの老舗3軒は、現在でも営業しています。)
平成に入り、新世代の水炊きとして「とり田」「橙」が登場する。

店名:とり田
住所:福岡県福岡市中央区薬院2-3-30 CASEビル 1F
電話番号:050-5869-8652 (予約専用番号) 092-716-2202 (お問い合わせ専用番号)
営業時間:月~金 12:00~15:00 17:00~22:00(L.O)
土日祝日 12:00~22:00(L.O)
定休日:無休