広尾 L’Effervescence (レフェルヴェソンス)

2011.08.04 Thu  

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六本木通り、富士フィルムの裏手、住宅街の一角。
2010年9月4日に閉店したサイタブリアの跡地に2010年9月14日にオープンしたのがレフェルヴェソンス
ノーマークで伺ったので、
どこが変わったのか、お店の雰囲気も、お食事の雰囲気も以前とあまり変わりない。
と云うのも、レフェルヴェソンスのシェフは、2001年サンタブリア立ち上げに携わった方なのです。
変わったのは屋号で、経営母体は変わっていない。
株式会社サンタブリア 石田聡氏が次の時代を見越し、名を改め、同じ場所で、
より本物の味に拘ったガストロノミーレストランとして新規オープンしたのがレフェルヴェソンス
L’Effervescenceは、フランス語で活気、活発、シャンパンのような弾ける泡という意味。
新しい息吹を感じられる店名。
お味は勿論のこと、お料理は驚き、インパクト、楽しさがある。
特にスペシャリテのカブのロティに魅了され、シェフのキャリア、修行先であったレストランのあれこれを
リサーチすることにした。
エクゼクティブシェフの生江史伸氏は、国際基督教大学ICU高等学校出身、
慶應義塾大学法学部政治学科卒と異色の学歴を持つ。
◆卒業後、都内イタリア料理店で基礎を学び、株式会社グローバルダイニングでアルバイトとして働く。
◆2001年、サンタブリア立ち上げに参加し、同店で1年半過ごす。
◆2003年、三ツ星レストラン「ミッシェル・ブラストーヤジャポン」に入店。シェフドパルティー担当後スーシェフに就任。5年間過ごす。
◆2008年、英国の三ツ星レストラン「ザ・ファットダック」に入店、スーシェフ/ペイストリー部門担当に就任。
1年間勤めた後帰国。
◆2009年7月、石田氏の誘いで、サンタブリアのテクニカルアドバイザーとなる。サイタブリア系列の新事業展開に参画。
◆2010年9月、新店「L’Effervescenceレフェルヴェソンス」のエグゼクティブシェフに就任。
1枚目の写真がどう見ても夜のライティングですが、訪問したのはランチの時間。
レセプションを抜け、テーブルの間隔がゆったりととられたメインダイニングへ。
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メインダイニングの脇にはバーカウンター。
シガーラウンジも完備している。
通して頂いたのは、よりプライベート感あるボックス席。
地下1階には、シェフズキッチンの備えた個室。4名以上であればノーチャージ。
ソファもありより寛げる空間。
ランチのコースは3種。
より道 / 牧場 4,800円 / おでかけ 7,500円
※おでかけコースを注文の際は、テーブルでコースを揃えること
より道と牧場のコースをお願いした。
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プティバケットとセーグル(ライ麦)
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バターには泡の模様が施されている。
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アミューズブッシュ(共通)
マンゴーのシャーベット。
泡立てられたソースが盛り付けされている。
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天使海老のポワレ コリアンダー オレンジペースト 赤ワインヴィネガーのジュレ
泡立てた海老のジュ 白菜の生ハム風味(牧場)
天使の海老を使用しているので、天国を表現した一皿。
泡のソースが雲を表現している。
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鮎と西瓜の香り~
鮎の炙り焼きと自家製うるかの苦味、西瓜と加賀太胡瓜、香り高いバジル(より道)
鮎が清流で泳いているような芸術的な一皿。
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鮎に添えられているのは、西瓜、加賀太胡瓜、レモンバジル、ヤオルトシャンティ、うるかのソース。
似た香りを持つ西瓜と夏の鮎。
ここに胡瓜を合わせることで鮎と西瓜が一体化する。
口の中でほのかに香る爽やかな風味はレモンバジル。
ハーブは、目黒にある建物の屋上を借り、自家農園を始めている。
セレクトした種を農家の方に栽培をお願いし、それを自ら摘みに行く。
珍しい、特別なハーブや野菜を自分たちの手で栽培する。
味覚(甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、旨い)は5味しかないが、嗅覚は300種ある。
フレーバーを料理に加えることができれば、味のバリエーションは300以上に。
味の幅を広げることができるため、アクセントには好んでハーブを取り入れている。
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五月長根葡萄園 2009
お食事に合うワインをとソムリエが勧めて下さった。
すっきりと辛口。
柑橘や新鮮な青リンゴを感じさせる果実香と爽やかな酸味が特徴。
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お野菜の一品 スペシャリテ(共通)
丸ごと火入れしたカブ、パセリのエミュルション、生ハムとブリオッシュ
カブを口に入れ、噛んだ瞬間に、まるで土から掘り起こしたばかりの瑞々しさ。
63度。
この温度を+-ぶらすことなく、4時間掛けて丁寧にじっくりと火を通す。
最後にバターでロティする。
カブが持つ体液が、1㏄も失われることなく、
風味を極限まで高め、組織が破壊される一点を見極めて調理を行う。
調理法には化学を取り入れる。
生江シェフの修行先であった「ザ・ファットダック」のオーナーシェフ、
ヘストン・ブルメンタール氏がその分野のカリスマ的な存在。
◆料理を化学する「エル・ブジ」の後継者、化学を料理する「ザ・ファット・ダック
代表作に、iPodで波の音を聴きながら食べる「海の音色」「ベーコンエッグのアイスクリーム」
化学を融合させた「分子料理法」を用いている。
調理器具ではなく米国製の理化学研究用機材を使用。
温度は、0.1度単位で刻める温度計で測定し、その1点を見極める。
因みに、分子ガストロノミーで料理革命を起こした「エル・ブジ」は、2011年で休業となる。
但し、2014年に料理のシンクタンク的な形態で再オープンする予定もあるらしい。
どのゲストに対しても同じクオリティーを提供するために化学技術を使っている。
現在、欧米のトップレストランで化学技術を活用していない店はないと云われており、
日本のフレンチでは科学技術を使うことは希だが、反面一部の日本料理では、出汁の取り方などに活用が始まっている。
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お肉料理は、LAGUIOLE(ラギオール)のステーキナイフで。
数種類あるナイフから好きなものを選びます。
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春の躍動~信州和牛モモ肉のロティとそのジュ、
グリーンアスパラガス、紅芯大根のピュレ、ナスタチウム(牧場)
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仔牛のラグーをアップルパイの様に、手長海老 フォワグラ
オレンジパプリカのソース 時期のサラダ ヴィネグレットカラマンシー
パイ生地の中には、賽の目切の林檎。
アップルパイでも、スィーツではなくお食事な一皿。
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空想上のイチゴ畑~
トンカ豆のアイスクリームと焼きココナッツボール、クランブル、ライムの泡(牧場)
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軽快なモンブラン(より道)
名前の通り、軽快。
3段に積み重なったメレンゲの中にエスプーマ状のマロンクリームが入っています。
エスプーマ(espuma)とはスペイン語で「泡」を意味し、
エル・ブジ」の料理長フェラン・アドリアによって開発された料理。調理法、調理器具のことを云う。
亜酸化窒素を使い、あらゆる食材をムースのような泡状にすることができる画期的な調理法として、
エスプーマの手法は、ここ10年ほどで世界の料理界に広がった。
専用の器具に材料を入れ密封し、亜酸化窒素ガスのボンベでガスを封入し、器具全体を振る。
ノズルを操作すると、食材が泡状になって出てくる。
スターバックスでフラペチーノを注文したときに、ホイップする機材がそれです。
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おしゃべりのひととき
チョコレート、薄いゼラチンの中にライチ/ココナッツ/ハイビスカスのジュレル
マカロン
チッパチャプス(パチパチ入)
チッパチャプスは、口の中で弾けるような細工がされている。
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お土産のメレンゲ菓子
泡をテーマに、お皿やお料理、添えてあるソース。
様々な泡が表現され、一貫性がある。
お料理は月1で変わるそう。
また訪れたい。
●店名:レフェルヴェソンス (L’Effervescence)
●住所:港区西麻布2-26-4
●電話:03-5766-9500
●営業時間:12:00~14:00(L.O) 18:00~21:00(L.O)
●定休日:月曜日(祝日の場合は営業)

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